鉄筋コンクリート造の建物の耐震補強として、外付けブレースの設置・内付けブレースの設置・
耐震壁の新設または増打ち・耐震スリットの新設・梁の増打ち・柱の炭素繊維巻などがあります。
ここでは、小倉城耐震補強工事において施工した工程に沿って、耐震壁について紹介します。
小倉城耐震補強工事の図面には
増設壁・増打壁・袖壁がありますが、
増設壁:壁のない場所に新しい壁をつくる
増打壁:今ある壁の厚みを増す
袖壁 :新しい壁に大きな開口がある
という違いがあります。
まずは増設壁。袖壁も作業の内容は変わらないので
ここでは同じものとして扱います。
写真左が増設壁、右の開口の大きいものが袖壁です。
続いてアンカーの施工。
今回の壁は梁の横面にくっつく形式なので、
柱と床の3面と梁側にアンカーを設置します。
鉄筋探査をして既設の鉄筋にアンカーが当たらないようマーキング。
穴を空けたらブロア吹き>ブラシ掛け>ブロア吹きと3回の清掃。
施工が正しく行われているか確認するために、
空けた穴の深さや、打込んだアンカーの出を測定します。
アンカーの次は鉄筋。
開口がある場合はその周囲に開口補強筋を、
壁の周囲には補強としてスパイラル筋を配筋します。
コンクリート打設。
全体に隙間なくコンクリートが行き渡るように
高周波バイブレータと木槌、型枠用バイブレータを併用しました。
壁の上部にはコンクリート打設用の高さ20cmの隙間があります。
打設後に型枠で塞いで、無収縮モルタルの圧入により周囲と一体化します。
脱枠後は、塗装したり間仕切り壁で囲ったりと仕上げを施して完了です。
続いて増打壁。
周辺の撤去・アンカー打ちまでは同じですが、
既存壁との付着を良くするためにシアコネクタとして
60cm間隔でD10の異形鉄筋を施工しました。
その後も配筋、型枠と進めて打設。
こちらの写真では上部の打設口がはっきりわかります。
また、増打壁の場合は片面が既設壁であるので、
打設時の荷重がすべて既設壁の反対の型枠にかかるため
通常より大量の控えを入れています。
打設後は上部に型枠を入れて無収縮モルタルの圧入。
脱枠したら周辺の復旧をして仕上げて終わりです。
以下は着工前と完了の比較。
展示コーナーの入口だった所に壁が出来ています。
現在は写真より手前左手から入り、ここは進路の最後になったのかな。
写真正面が増設壁です。
以前は展示コーナーでしたが、現在はバックヤードとなっています。