鉄筋コンクリート造の建物の耐震補強として、外付けブレースの設置・内付けブレースの設置・
耐震壁の新設または増打ち・耐震スリットの新設・梁の増打ち・柱の炭素繊維巻などがあります。
ここでは、西門司小学校において施工した工程に沿って、内付けブレースについて紹介します。
内付けブレースとは、コンクリート躯体の柱梁の内部に鉄骨の補強材を取付け、剛性を増す、つまり、硬くすることで耐震性能を上げる工法です。
外観の変化が少なくスッキリ見えますが、
室内に鉄骨が付くので、出入口の位置やサッシ・家具などの変更や調整が発生する場合があることや、鉄骨を隠さない場合は安全対策が必要なことがデメリットとなります。
コンクリートと鉄骨が一体となって外力に抵抗するために、既存コンクリート側にアンカーボルトを設置し、
鉄骨側にはスタッドを取付け、グラウトという圧縮強度の大きい材料でコンクリートと鉄骨の間を充填します。
まずは、室内の家具やサッシを撤去し、構造体であるコンクリートと鉄骨を直接つなげる為に、補強材が付く箇所のモルタルは剥がしておきます。
左写真のように、天井・床と両柱と撤去します。表面のモルタル撤去をしたところは、グラウトの付着を良くするためにコンクリート面を目荒ししています。
天井・柱・床と鉄骨が取り付く四方にアンカーを施工します。
穿孔の後にブロア吹き>ブラシ掛け>ブロア吹きで穴の清掃をし、接着剤の入ったガラスカプセルを挿入。
先の尖ったアンカー筋を回し入れる事でカプセルが割れて接着剤が出てくるという仕組みです。
図面に定められたピッチで所定の本数を施工。
工場で製作した鉄骨を建て込みます。4周のコンクリートにはまり込むという内付けブレースの形状から、上部に吊るスペースがないためにクレーン車が使えずに沢山のウインチで吊り上げます。
鉄骨の部材同士はTC高力ボルトでの接合。一次締めののちマーキングをして本締めをし、ピンテールの破断とマーキングのずれをチェックすることでキチンと締付けられていると確認できます。
鉄骨とコンクリートの間にスパイラル筋を入れることで、この後充填するグラウトの割れを防ぎます。型枠を組んで隙間を発泡ウレタンでふさぎ、グラウト圧入。
無事に鉄骨が取り付きました。
周辺をモルタルで補修し、鉄骨を塗装したら復旧作業となります。